「マイナスイオン」
このことばを聞いてみなさんが思い浮かべるものってなんでしょう。
「からだにいい」 「美容にいい」 「若返りそう」 「20代の肌を取り戻せそう」 「とにかくいっぱい吸い込みたい ずずーっ」 … (ん?後半になるにつれてめちゃ個人的見解になっているぞ)
なんて感じでしょうか?ヘアドライヤーから空気清浄機にいたるまで、さまざまな電機製品がマイナスイオン効果を謳っていて、何となく「マイナスイオン=からだにいい」と思い込んでいましたよね。
でも、マイナスイオンってなんでからだにいいんでしょう?
それに、マイナスイオンって具体的になんなのでしょう?
なんでプラスじゃなくてマイナスでないとあかんの?って素朴な疑問ももっちゃいます。いつごろからですかね、マイナスイオンがはやり出したのって?
答を先に言ってしまうと、マイナスイオンの実態は「不明」で、マイナスイオンがからだにいい、という仮説は専門家の間でも認められていないのだそうです(科学・医学専門誌にきちんとしたデータとともに発表された論文ではないのだそう)。実際、海外では、マイナスイオンがからだにいいという話はないのだそうです。
この話は、竹内薫著『99.9%は仮説 ―思い込みで判断しないための考え方―』の中から引用しました。
竹内先生の主張はこうです。
「われわれが"常識"としているものは"仮説"にすぎない」 「だから、世間でよく言われる常識をすべて鵜呑みにしてはいけない」 「先入観や固定観念にしばられずに、疑うこともしながら、柔軟に対応すること」
さまざまな情報があふれる昨今、何が真実で真実でないか判断するのはとても難しいこと。竹内先生の本を読んで、なるほどなーと学ぶところがたくさんありました。ワタクシも、はやりもの(特に美容関係)には疑いもせずにすぐに飛びついてしまう傾向があるので… マイナスイオンの空気清浄機も買おうとしてました、実は(苦笑)。
他にもいろいろな例がありました。たとえば、竹内先生のお母様は、竹内先生を母乳ではなく「スキムミルク」でお育てになったのだそうです。というのは、その当時(1960年代)は、「赤ちゃんは母乳ではなくスキムミルクで育てるのがよい」という医学仮説が存在していたからです。ところが、現在の免疫学では、「生まれたての乳児には母乳を与えた方がいい」ということが定説になっています。こんなふうに、白に見える仮説も、いつ黒に変わるか分からない、ということなんですね。
ちなみに、竹内先生によると、「クラシック音楽が胎教によい」というのも根拠のない仮説なのだそう。
今、アメリカで物議を醸し出している「進化論」論争も、まさしく「仮説はくつがえさえる」ということを表していると思います。
進化論とは、ご存知のとおり、「人類は、原始的な生物から40億年という長い年月をかかけて少しずつ進化していったもの」という、チャールズ・ダーウィンの説。
進化論は、たぶん日本では"常識"として学校で教えられていると思います。ところが、アメリカでは、この常識がくつがえされつつあるんですね。
対立仮説として現れたのが、「インテリジェント・デザイン説(知的設計説)」というもの。1999年にカリフォルニア大学で作られた仮説だそう。知的設計説とは、「宇宙のどこかにいる知的設計者がDNAを設計し、それが生物を作り出した」という説。
この知的設計説を、中学や高校で教えるべきか、という議論が今アメリカでは盛んに行われているのだそうです。というのは、あのブッシュさんが、「知的設計説を教えたほうがいい」ということを公の場で言ってしまったからで、この発言以来、アメリカは大騒ぎになっているんだそう。
結果、13歳から17歳の若者に、ダーウィンの進化論についてアンケート調査を行ったところ、ダーウィンの進化論を完全に知っているのはほんの37%だったという。他は、「わからない」「いくつかあるうちの仮説のひとつにすぎない」と答えたそう(2005年NATURE誌4月28日号)。アメリカの若者の間では、進化論が揺らぎ始めているんですね。
こう考えると、今、絶対と信じているものでも、いつかは絶対ではなくなるかもしれないってことなんですね。権威を鵜呑みにすることなく、他の可能性があるかも、他の考え方があるかも、と疑う姿勢が大事、ということですね。
竹内先生の本を読んで、からだにいいって言われて「黒酢」を飲んでたことがあるけど、よけい調子悪くなっちゃったことを思い出しました(笑)。吹き出物とかもでちゃって散々でしたよー。黒酢もマイナスイオンと同じで、ただの仮説にすぎなかったってことなんかなぁ。。。
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