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おとなのきほん

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この春,いろいろな本を読みましたが,中でも新年度がスタートするこの時期に読んでおいてよかったと思ったものがあります.

 

松浦弥太郎さんの『おとなのまんなか:新しいことはまだまだ,できる』(PHP文庫)

 

です.

 

この本は,おとなが「自分のまんなかにある基本に立ち返る」この大切さについて,「文章の書き方」,「働き方」,「人との付き合い方」,「趣味の持ち方」といった観点から,松浦さんならではのシンプルで丁寧な文体で語られています.

 

基本に立ち返るということは,特に年齢を重ねたおとなにとって大事なことだと思います. 私たちは,年を重ねるにつれて,だんだんと,自分にいろいろなものがくっついてきます. 例えば,知識や経験,世界観,仲間,愛情や愛着. それらは,自分にとって財産ではありますが,たくさんのものがくっついてくることによって,徐々に,シンプルから遠ざかっていきます. その結果,自分を見失ったり,なぜ今これをしているのか,その出発点や原点を忘れてしまったり,ということが起こります. いろいろなものを持っていて華やかに見えるけれど,一体この人は何をしている人なんだろう?そんなふうに他者からは見えてしまう,そんなことも起こるかもしれません. 

 

「無駄なものがいっさいない,そぎ落とされた最小限のものだけで,すっと立っている.それこそ基本のありようです」

 

という松浦さんの言葉には,いろいろな経験を積んできたおとなが,改めて「自分の大事にしている基本に立ち戻る」ことの大切さが凝縮されているように感じます.

 

アレンジされた華やかさがなくても,シンプルな基本だけで,いつも凛と立っている. 

 

研究は,常に「新しいもの」を求められる仕事ですが,「新しいもの」は,このような何があっても揺るがないシンプルな基本から生まれてくるものなのかもしれません.

 

大学の職に就いて約14年. 経験値を全部削ぎ落として,一度,シンプルな基本に立ち返ること. 今の自分にいちばん必要なものに改めて気づかせてくれた本でした.

 

 

 

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