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書き手を育てるということ

本学は,クオーター制(4学期制)を導入しているので,今週が第1クオーターの最終週になります.


担当している学部生向けのプロジェクト型英語授業は,例年と少し違うタスクを設定してみました.


「自分の出身地を紹介するパンフレットを作る(Creating Your Hometown Travel Brochure)」


というものです.


例年,ややお固めのジャンルであるアーギュメンタティブ・エッセイを書くことを主なタスクにしていたのですが,書き手である学生本人があまり楽しそうにしていなかったこと,そして,オーラルプレゼンも,何か「やらされている感」が否めない,なんか暗ーーい雰囲気になりがちであることが気になっていました. もちろん,こうしたエッセイを書く力の育成も大学英語教育の大事な目標ではあるのですが,もっと書くこと自体を楽しめるタスク,言い換えると,「先生に言われたからやってる」ではなくて,純粋に「誰かに聞いてほしい」,「読んでもらいたい」という気持ちになるような「実世界型タスク」を経験することも大事なんじゃないか...と模索する日々が続いていました. そんな中,行き着いたのがこのパンフレット作成プロジェクトでした. 

そして,今回,もう一つ,自分にとって新たな試みだったのは,「型やフォーマットをあえて教えない」ということでした. 教員の私から学生に伝えたのは,「パンフレットの読み手は,あなたの出身地のことをほとんど知らない」ということ. そして,「その人たちがあなたの出身地に行ってみたくなるようなパンフレットを作ってほしい」ということ. この二点でした. あとは,学生一人ひとりの個性とセンス,そして「読み手意識」(←個人的にはこれが一番大事じゃないかと思っている)に委ね,どんなものが出来上がってくるかを見てみよう...というものです.

その結果がこちら. 今日みんなが書いてきたパンフレット(一部)です.


Img_0657


学生一人ひとりの思いが詰まった,そして一人ひとりの個性が伝わってくる素敵なパンフレットが仕上がっていました.  


ハサミでデザインを工夫したり,糊ではりつけて小冊子風にしてみたり,こちらから何も言わなくても,これだけの作品ができあがったことにまず感動しました. 英文そのものだけでなく,こうしたビジュアルデザインも,ライティングを通したコミュニケーションでは非常に重要な要素になります.


オーラル・プレゼンも,いつになく話す方も聞く方も楽しそうにしていて,誰一人眠っておらず,教室に一体感が生まれているように見えました. 


「自分が書きたいと思うもの」,「誰かに読んでもらいたいという気持ちになるもの」 


こうしたトピックを選ぶことが本当はとても大事なことなのでしょうね. アカデミック・イングリッシュにこだわることで,「良い書き手」が育たなくなっているのだとしたら,改善の余地があるのかもしれません.  


そして,18歳や19歳の若者は,大人が思っている以上に高いポテンシャルを持っているということ. それを伸ばす機会を作るのが教員の役割であるということ.


今日はそんなことを考える一日になりました.

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