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4ヶ月

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東京から福岡に赴任して4ヶ月が過ぎました.

満開の桜で彩られた新しいキャンパスで,新入生と同じように,不安と緊張とほんの少しの楽しみが混在した不安定な心理状態で毎日を過ごしていた4月. これまで積み重ねてきた経験があったとしても,環境が変わると,それがうまく機能しないこともあり,新しい大学の"community of practice"にアジャストするために,自分の中に構築されたスキーマとデフォルトを切り替えなければならないこともあり,とにかく「今日」を精一杯生きて,それを「明日」につなげていくことだけで必死だった. だから,一週間のうちで最も幸福な時間は,金曜の5限の授業の終了を告げる18時10分のチャイムが鳴った瞬間だった. その後は,「明日」のことを考えなくてよいからだ. しかし,これが一週間で最も幸福な時間とは何か寂し過ぎるけど.

そんなふうに「今日」と「明日」のことだけで時間が過ぎていき,満開の桜で彩られていたキャンパスも,いつのまにか,太陽がじりじりと照りつける真夏の風景に変わっていた. 無事に前期授業も終了した. 15週間の授業を振り返ると,ああすればよかったな,こうすればよかったなという反省点が多いけれども,素晴らしい学生さんに恵まれ,至らない点が多々ある中で,本当に一生懸命やってくれました. その姿に心打たれ,改めてこの職業を選んでよかったという気持ちを強くしたし,一人一人の持つ潜在能力の高さに驚かされ,改めて,"educate"が「引き上げる」という意味を持つことを再確認できました. まだ奥の方にあって表には見えにくい宝を,確かな教育実践によって見えるかたちにするのが「教育」なのですね. わたしの方が学生さんから学ばせてもらった4ヶ月でした.  

学生さんだけではなく,素晴らしい先生方との出会いもありました. 偶然にもハワイ大学で学位を取られた先生がおられて,しかも,わたしと同じ関西出身ということで,何か気が合うというか波長が合い(とこちらが勝手に思っているのだが),この先生が自分を東京から福岡に呼び寄せてくださったのかもしれないと不思議なご縁を感じている. 知性あふれるジェントルマンで,絶対に失言などはしない人だが(大学ではこういう人材は結構貴重だ),時々,会話の中にボケと一人ツッコミが入ることを,わたしは決して聞き逃していない. 同僚の先生方のほとんどが九州出身であることを考えると,先生が秘かにお使いになられている関西ディスコースに気がついているのは,おそらくわたしだけではないかと優越感に浸っている. ふふふ. 先日は,「初年次教育は木の『根』の部分に当たるのであります!」と力説されておられる別の先生に向かって,「根が腐ってたりして(エヘヘ)」と静かにツッコミを入れていらっしゃいました. ジェントルマンの静かなツッコミに誰一人として反応を示さなかったのだが,わたしはお腹をかかえて笑ってしまいました. まあ,お腹をかかえるほどのおもしろさでもなかったけど. それと,先生のお召しになられているシャツがいつもシワクチャなのと,土日にパジャマみたいな格好でご出勤されているこの二点が気になっているのだが,そこも含めて愛すべきキャラクターの先生である.  

その先生と共に,全学英語教育のカリキュラム改革に向けて,一緒に仕事をする機会にも恵まれた. まだ学位を取ったばかりの若手の私に(年齢的には若手とは言えないが),専門性を活かせる機会を積極的に作ってくださり,こちらの話も真剣に聞いてくださる. ハワイ大学で学んだこと,これまで自分が研究してきたこと,読んだり書いたり発表してきたりしたこと全てが,今回のカリキュラム改革で,大いに役立っている. 積み上げたきたものが確かに役に立っていると直に実感できることは,そう頻繁に起こることではないと思うので,得難い経験ができていると思う. ハワイ大学に留学したことは,最終的にこの先生と一緒に仕事をするためだったのではないかとさえ思える. 人との出会いは偶然ではなく,やはり必然なのかもしれない.

東京からはるばる福岡にやってきて,馴染みのない言葉や文化や慣習に戸惑い,フェデックスキンコスのスタッフののろさにいらいらさせられたり,反面,すごいスピードで歩道を走る自転車に何度も引かれそうになったりして,なんじゃここは…と悲しくなり,福岡に来たことはもしかしたら失敗だったのではないかとか,あと一年我慢して都内の別の大学に応募するべきだったのではないかとか,"what if...?" クエスチョンが頭の中をかけめぐることがあった. しかし,この4ヶ月を振り返ってみると,自分は,自分が描いている将来設計を少しずつ実現していくために,この場所に来るべきだったのだろうし,何か理由があって,今,自分はここにいるのだというふうに思えてくる.

他の選択肢を考えたり望んだりする前に,自分の置かれた状況を受け止めること. そうすることでしか答えは出せないし,そうすることでしか前に進めないのですね. 福岡に来てからの4ヶ月を振り返り,自分は理由があってここに来たのであり,それは自分にとって大きなチャンスなのであり,それを次につなげていかなくてはならないのであり,結果はすべて自分次第なのだ,ということを再確認しました.

自分に与えられたチャンスに感謝する気持ちを忘れず,福岡で成長したいと思います.

 

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