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藤原ワールド

July21_005_3  補講日で授業がなかったので,午前中に試験問題を完成させ,午後から日経新聞社主催のシンポジウムに出席してきた.

 場所は東京・大手町の経団連会館.

 経団連会館に足を踏み入れるなんてまたとない機会なので(これが最初で最後かもしれない),一応記念写真を撮っておいた. 看板しか写ってないけど. 

シンポジウムのタイトルは,『ゲームが開く学びの世界』.

最近のNintendo DSブームは,教育業界にも影響を与えていて,ゲームを取り入れる学校が年々増えてきているという. 英語だと,『英単語ターゲット』とか『もっと英語漬け』のようなソフトが授業に取り入れられ,その教育効果が報告され始めている(効果をどうやって測定したのかについては疑問の余地が残るが). こうした教育学習向けのいわゆる「シリアス・ゲーム」は「現代の知的複合体」とまで呼ばれるようになっている. ゲームを授業に取り入れることについては反対意見も多いけれど,もし本当に「知的複合体」としての効果があるのだとしたら,その利点は無視するべきではないと個人的には思っている.

この頃,e-ラーニングに興味を持っていることもあり,何か授業や研究のためのアイデアが得られるかもしれないということで参加してきた. あとは,前・杉並区立和田中学校校長の藤原和博先生の基調講演もミーハーなわたしとしては気になるところだったし. 

最初の1時間は,藤原先生の基調講演. 「ゲーム的な学び」がいかに重要であるかについてのお話. 「ゲーム的な学び」とは,指名した人だけが思考し発言するのではなく,クラス全員に同時多発的に思考を起こし,クラス全員に同時多発的に発言させる,という全員参加型の学習方法のこと. この「ゲーム的な学び」を実現するための具体的な方法についていろいろと話していただく. 具体的な方法とは,ロールプレイ,シミュレーション,プレゼン,ディベートなど. つまり,藤原先生の言う「ゲーム的な学び」というのは,ゲームソフトそのものを使う学びのことではなく,「同時多発的に思考を起こすような学び」のことを意味しているのだと分かった. とてもおもしろいと思った.

わたしが教えている学生さんはおとなしくてあまり発言しないし(日本人の特徴なのかもしれない),指名すると顔を真っ赤にして黙り込んでしまう人もいたりするので(なんで真っ赤になるのでしょうか,シャイすぎます),藤原先生のおっしゃる「同時多発的に思考やプレゼンを起こす『ゲーム的な学び』」から自分の授業を改善するヒントをもらえた気がした. 

それにしても,藤原先生はお話がすごく上手なのでびっくりした. オーディエンスの心をがしっと掴み,藤原ワールドに引き込む技に長けていらっしゃる. ときどき冗談を言って笑いを取っていて,年輩のおじさま方がお腹をかかえてあーはっはっはっと笑っていた. そんなにおもしろくはなかったと思うけどね. それはともかく,オーディエンスがお腹をかかえて笑うくらいのネタを持っているなんて,エンターテイナーを目指しているわたしとしてはちょっと悔しかったりもした. エンターテイナー目指してるんかい. なんだか,「ゲーム的な学び」がどうこうというよりも藤原先生そのものがゲームソフトみたいだと思った. 小さいお体で舞台の上をピコピコ動き回っていらっしゃったし. ポケモンかい. 違うか.

藤原先生の基調講演の後は,他の3名の先生方を交えてのパネル・ディスカッション. 他の3名の先生方が喋りだすと,オーディエンスがグーグー眠り始めた. いそいそと退場する人もいたりして. でも,藤原先生が話し始めると,みなさんパッと目を覚まし,またまた藤原ワールドに引き込まれる. とても不思議な現象だと思った. 話術に長けていると,同じ内容でもオーディエンスへの伝わり方が全然違ってくる,ということを実感した. 人前で話したり教えたりする仕事では,伝える「内容」そのものと,伝え方,つまり「話術」の二つを兼ね備えておくことが大事なのかもしれないと思った. 

これまでどちらかというと,こういう話術に長けた人を見ると,なんかちょっとうさんくさいとかちょっと教祖様っぽいとか思って引いてしまいがちだったのだが,藤原先生のお話は納得してしまうことが多く,知らぬ間にすっかり藤原ワールドに引き込まれてしまったわたくしである.

講演の最後に,20世紀の教育は「正解主義,情報処理力」が求められていたけれど,21世紀の教育は「修正主義情報編集力」が重要になる,と藤原先生. 答を暗記するのではなく,子供たちが自分のビジョン,世界観,将来像を作り出せるような学びを促進すること. これも納得してしまった. 

藤原ワールドに引き込まれてしまった一日.

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