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こんな土曜日

科研の応募書類の締切が5月8日だったので,ゴールデンウィーク中,毎日大学に来て必死で研究計画調書を書き上げる.

科研の審査委員の先生方は,一人につき40~50件,多いときで100件ほどの研究計画調書を審査するという(分野によって異なると思うけれど). 今回の科研の結果は8月に発表されるらしいので,先生方はおそらくこの前期の授業期間中に審査をすることになるのだろう. そう考えると,ただでさえ忙しい大学の先生方が100件あまりの研究計画調書を審査するのに果たして十分な時間が取れるのだろうか,そして,100件のうち1件の計画書を審査するのにかける時間というのは大体どのくらいなのだろうか,という素朴な疑問がわいてくる.

そして,そういう先生方の立場を考えつつ応募書類を書き始めると,まず出だしの文章がいかに大切であるかを実感する. 出だしのところで,「これはおもしろい」とか「もっと先を読んでみたい」と思ってもらうために,文章に一工夫が必要ということである. 出だしで失敗すると,その先はきちんと読んでもらえないような気がするのである. もちろん研究の内容が重要であることは言うまでもないのだけれど,それを伝えるための読み手を意識したレトリックや技術が必要なのではないかと. あとは,重要な部分を下線で強調するとか,表や図を使って一目で情報が分かるようにする工夫とかも,「ちゃんと読んでもらう」ために必要な技術のような気がする. なぜなら,審査委員の先生は100件も読まなくてはならないからである. 

そんなことを考えながら文章を書いていると,すごく時間がかかった. そして,文章って難しいと改めて思った.

科研の応募書類が提出できたので,今週末は一日くらいはお休みしようと思っていたのだが,大学院入試を受けるという学生さんの外国語対策を月に一回行うことになっていて,それが土曜日に入っていたので,お腹をすかせたひな鳥のところへ向かう親鳥のごとく,いそいそと大学へ向かう. ピーヨピヨ.

この学生さんは国立K大学大学院の入試を受けようとしている人である. 大学院入試には,専門科目の試験に加えて「外国語(英語)」の試験がある. 生物系の研究科なので,英語の試験も生物系の英文を扱っている. 例えば,DNAとか細胞とか進化とか. なんか難しそう. わたしは英語はできますが生物はそんなに得意じゃないんですよね. というか,高校を卒業してから生物は勉強していないので,ほとんど忘れてしまっているのである. そんなわたしに国立K大学大学院の入試対策を任せていいのでしょうかね. とかなんとかブツブツ独り言を言いつつ,本人から渡された過去問を見てみる.

さすが日本の大学院入試らしく,「下線部を日本語に訳しなさい」系の問題ばかりである. というか,そこに書かれている英文すべてに下線が引かれているので,下線部といっても,結局全文を訳さなくてはならないのである. カモーン. 

しかし,ざっと読んでみたところ,確かに生物系の英文なのだが,言っていることは生物の基礎知識があれば理解できるレベルのもので,高校卒業以来生物を勉強していないわたしにも訳せそうなものばかりだったので安心する. そして,学生さんが書いてきた日本語訳をチェックする. さすが,日本の女子学生らしく,ノートの左半分に英文を書き,右半分に日本語訳を書き,先生のコメントが書きやすいようにスペースなども作ったりしている. 単語の意味は品詞ごとに色を分けて書いたりしている. そういえば,何かの本で読んだけれども,日本の女子学生のノートというのは,世界一美しいのだそうだ.

そんな美しいノートを書く学生さんなのだが,日本語訳がめちゃくちゃで解読不能な日本語を書いているので,目が点になってしまう. たとえば,DNAの進化 (=evolution)についての英文のところで,「DNAに革命が起こる」とか書いている. なんでDNAに革命が起こるねん. ロシア革命とちゃうねんから. たぶん,"evolution(進化)"を"revolution(革命)"と読み違えたのだろう. 英語にするとよく似ていますけども,意味は全然違います.  カモーン.

「植物の自然治癒」に関する英文のところでは,"herbal tea"(ハーブティ)のことを「ハーバル茶」とか書いている. ハーバル茶ってどんな茶や. というか「ハーブティ」って知らないのでしょうか. カモーン. この学生さんに国立K大学大学院で研究したいと思わせたきっかけは一体何だったのだろうとふと考えてしまった. 一通り,説明が終わった後,「わたし受かるでしょうか?どうしてもK大学に行きたいんですけど,大丈夫でしょうか?」とか聞いてくる. うーんどうなのでしょうか. DNA革命にハーバル茶ですから. 何とか受かってほしいですし,そのためにわたしにできることがあるのなら頑張りたいと思いますが. とにかく,英語をただ機械的に訳すのではなく,この文章は何を伝えようとしているのかを考えることが大事ですよというお話をする. 言葉というのは「試験」のためのものではなく,「人に情報を伝える」ためにある,という基本的なことを,これまであまり意識することなく大学に来てしまった人たちがもしかすると意外と多いのかもしれない,ということを感じた. 

May9_007  入試対策が終わってから電車に乗って新宿へ出た. 

 2ヶ月ぶりの新宿. 人がいっぱい. ここは都会だとしみじみ思う.

 新宿駅南口を出たあたりのスポットはお気に入りである. まず,紀伊国屋がある. そして,新宿高島屋がある. そして,東急ハンズがある. この御三家(と勝手に呼んでいる)が一点に集中しているのである. これはすごいことである. ここの紀伊国屋には洋書や英語教材がそろっている. 高島屋は靴とピアスの売り場が充実している. 東急ハンズはアイデア商品満載でとにかくおもしろい. そういうわけでこの三つは御三家であり,そういうわけで新宿南口が熱いのである. 最近は,クリスピードーナツやスターバックスができたりして,アメリカナイズされてきた新宿南口は,ますます熱くなってきている. というか,クリスピーもスタバも別に普通でした. 革命じゃー革命を起こすのじゃ.

今日は,紀伊国屋で授業で使う教材と伊坂幸太郎さんの「ラッシュライフ」を買った. 

May9_011  そして,高島屋でUNTITLEDのヒールを買い,東急ハンズで靴のお手入れセットを買った.

 販売員としての高い能力を備えた店員さんの話術にまんまと乗せられ,二足も購入してしまった. わたしみたいな押しに弱い人間というのは,ああいう口達者な販売員さんの格好の標的になってしまうのである. ピーヨピヨ. ヒールはかわいいのでまぁいいのですけれど.

週末に新宿でお買い物ができることの喜びをかみしめる.

そして,「DNAに革命が起こる」という日本語訳はちょっとおもしろかったな,と午前中の入試対策を振り返る. "revolution"じゃなくて"evolution"や.

そんな土曜日.

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コメント

「DNA革命」面白いですね。突然変異が起こりそう・・。

投稿: しも | 2009年5月12日 (火) 02:22

しも君,お元気ですか.

「DNA革命」っておもしろいですよね.「ハーバル茶」もすてきです.

投稿: satchy | 2009年5月13日 (水) 17:43

元気です!昨日でこっち出て来て早1年経ちました。
人生でこんなに早い1年は始めてですね。
去年,相談乗って頂き有難う御座居ました。
おかげで今は仕事が楽しいです。

投稿: しも | 2009年5月14日 (木) 00:43

しも君,

よかったね!

投稿: satchy | 2009年5月16日 (土) 12:33

ご無沙汰しています。
お元気ですか?
私の職場はGCOE(グローバルCOE)に採択されている拠点なのですが、学内外含め、書類書きの多いこと、多いこと。。そのため、私も書類書きの幾分かをやらされています。Satchyさんの言われるようにレトリックは大切で、先生方の表現方法はすごく勉強になります。そのためもあり教員採用試験の勉強はなかなか進みませんが(u_u。)

投稿: American Mike | 2009年5月16日 (土) 15:56

American Mikeさん,

ご無沙汰しています.コメントをいただけてうれしいです.お元気ですか.

研究費の応募は職員の方のサポートなしには実現しないので,いつも本当にありがたく思っています.教員側のミスも多いと思うので,結構大変じゃないでしょうか….ご自分の仕事がなかなか進まないというのもよく分かります.本当にごくろうさまです.

またお話できることを楽しみにしています.コメントありがとうございました.

投稿: satchy | 2009年5月16日 (土) 16:02

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