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Sep5_019  父.

 というタイトルで絵を描きたくなる光景だと思って,シャッターを押した.

 先日訪れたカハラの海岸で.

 砂浜で遊ぶ女の子とそれを温かく見守るお父さんの姿. どこでも普通に見かける光景だと思うけれど,心をとらえて離さなかった.

理由は三つある. 

一つは,砂でこんなに立派な城壁を作れるなんてお父さんすごいと思ったことだ. デザイン性にすぐれた砂の城壁. その職人並みの技に感心してしまった. 砂といえば公園の砂場で小山を作った記憶しかない. コヤマ. このお父さんはそんなレベルではない. さらに感心したのは,城壁が波から女の子を守るように設計されていたことだ. デザイン性だけでなく機能性にもすぐれた城壁. お父さんすばらしい.

二つ目は,この光景全体から「父の娘に対する愛情」があふれ出ていたことである. 城壁の中で遊ぶ女の子を見つめるお父さんの姿は,お城の中のお姫様を守る騎士のように見えた. どうですかこの勇ましい立ち姿. あっぱれ. でも「騎士」は言いすぎでしたでしょうか. 海パンですよ. お父さんは,この城壁を一体どのくらい時間をかけて完成させたのだろう. 娘を喜ばせたいという一心でこつこつと作業を進めていたのだろう. また,突然の波から娘を守るために,サイズやデザインを考えつつ城壁を積み上げていったのだろう. お父さんの愛が感じられた. 

そして,この光景が心をとらえて離さなかった三つ目の理由は,純粋にこんなお父さんっていいなと思ったことだ. わたしは,幼少時代に父親と遊んだり父親に甘えたりした記憶がほとんどない. 仕事が忙しく研究室で寝泊りするような人だったので一緒に食事をした記憶もほとんどない. 当時は父親というのはそういうものなのだ,他の家庭でもそうなのだと思っていたので,寂しいとかつらいとか思ったことはなかったように思う. でも,大人になってから,やっぱり自分は寂しかったのではないかと思うようになった. 特に,2年前ハワイに来てから,娘さんを連れて歩いているお父さんの姿を見たりすると,そんな気持ちになることが多くなった. なぜなのか理由は分からないけれど. 「誰かにかまってほしい」病,「誰かに甘えたい」病の症状なのかもしれない. 

Sep5_026

 お父さんに甘えるってどんな感じなのだろう. お父さんと一緒に遊ぶってどんな感じなのだろう.

 カハラの海で見かけたお父さんと女の子の姿を見てふと思った.

 人は大人になるについて役割が増えていく.「夫」,「父」,「研究者」,「先生」,「上司」,「部下」... これらは,その人の役割を表す「記号」である. その人は本質的には一人の人間でしかないわけだけれど,どの視点から見るかでその人を表す「記号」は変わる. 

父も一人の人間であって,「父」というのはただの記号に過ぎない. 

という事実を,自分はとても幼い時期に学んでしまったような気がする. 

砂の城壁がとてもうらやましかった.

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コメント

私も父に甘えるということがよくわかりません。今思えば私の父は面白い性格だといえますが、これは変わり者&忙しい父親をずっと見て最近やっと出した結論です。一緒に食事をあまりしませんでしたし、してもさっさと食べてどこかへ行ってしまうし。夏休みには遊びに行きましたが、やっぱりマイペース(ハイキング置いていかれ事件はこのようなときに起こりました)。

ハワイの公園ではよく子供連れの若い夫婦を見かけました。たぶん私より若いのに、子供をつれて楽しそうにバーベキューをしている若い親子を見て、なんだかせつなくなりました。せつなくなったのは、やはり自分が一人だということと、母親&弟から、私は父の一人遊び癖を受け継いでいるといわれていることでしょうか。うーん、変人の血を引いてしまったか・・・と思いつつ、父と自分の似ているところに納得してしまったりもするんですけどね。

投稿: tressoles | 2008年9月15日 (月) 13:34

【tressolesさん】
tressolesさん,こんにちは.

楽しそうな家族を見かけて何となくせつない気持ちになるということ,よく分かります.外国でひとりで暮らしているからでしょうか.家族の絆っていいなと純粋に思います.

tressolesさんのお父様,わたしにはとても素敵な方に思えました.自分の世界を持っていらっしゃる男性は素敵だと思います.tressolesさんがもっていらっしゃる魅力もお父様から受け継がれたものなのかもしれないですね.

家族連れを見てせつなくなることがある・・とはいっても,一人遊びって結構楽しいですよね.

お元気でお過ごしくださいね.
ありがとうございました.

投稿: satchy | 2008年9月16日 (火) 15:59

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