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日本語は難しい

Mar10_004_2 春学期が終わってから,ちょっと事情があって日本語で文章を書くお仕事をしている. ここ数年は,フォーマルな文章というと英語で書く機会の方が多くなっているので,日本語でフォーマルな文章を書くのは英語でフォーマルな文章を書くことより難しいと感じる. 今日は文書に添える「添え状」なるものを書いてみた. 

 まず出だしは,「拝啓 貴学におかれましては ますますご清栄のこととお喜び申し上げます」と書いてみた. いつの頃からか,この表現が身についている. でも今は外国にいるせいもあるのか,この「ますますご清栄のこととお喜び申し上げます」という表現にとても違和感を感じてしまう. 「お喜び申し上げる」という言葉は不自然な感じがする. 別に喜んでいない. 「喜び申し上げる」というと武士みたいな感じがする. 「お喜び申し上げ候」とかもある. 「ますますご清栄のこととお喜び申し上げ候」. しぶいが受け取り手にびっくりされそうだ. そして,「ご清栄」という言葉は,何だかとても堅苦しい. 「ご清栄」の代わりに「ご隆盛」とかもある. 「ご隆盛」. 西郷隆盛さんの「タカモリ」と何か関連があるのだろうか. やはり堅苦しさを感じるし,使ったことがないのでとても不自然に感じる. こんなふうに「ご隆盛」とか「ご清栄」に違和感を感じてしまうのは私だけなのだろうか. 

日本語は難しい. 

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Glazer's Coffee の韓国人マスターは,日本語を勉強しているようで,覚えた単語を日本人の前で使ってみることを日々実践しているようである. 今日,アイス・ソイ・ラテを頼んだら,「アイス・とにゅ・ラテ」と言ってアイス・ソイ・ラテを運んできてくれた. 「アイス・とにゅ・ラテ」. 正確には,「とにゅ」ですけれども. 別に「ソイ」と言っていただいてもよいのですけれども.

しかし,このマスターが発した「とにゅ」には,日本語の特徴が隠されている. 日本語は「モーラ言語」と呼ばれる言語で,長音「ー」も一拍(モーラ)として数えるのが特徴である. 「とーにゅー」は4拍(4モーラ). しかし,日本語学習者の方には,この長音を一拍として数えることがとても難しいのだそうだ. だから「とーにゅー」は「とにゅ」になってしまうのだ. ちなみに,促音の「っ」を一拍として数えることは学習者にとってさらに難しい. 「切手」は多くの場合「きて」になる. たとえば,「にったさん,きってかってきて」とちゃんと言える外国人は少ないはずだ. きっと,「にたさんきてかてきて」となるはず. ちょっといやな外国人がいたら,「にったさん,きってかってきて」って言ってみろと意地悪をすることもできる. まぁ,新田さんに切手買ってきてと頼む状況はそうそうなさそうであることを考えれば,この例文はかなり不自然ではありますけれども. にたさんきてかてきて. 

日本語は難しい.

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6番バスを待っていると,変わったおじさんに出会うことが多い. 今日も現われた. 今日のおじさんは突然 「釣りは好きか?(Do you like fishing?)」 と聞いてきた. 釣りですか? なんなんでしょうかね突然. 私の実家の近くには須磨海浜公園というのがあって,昔ときどき釣りに行きましたけれども. 魚を釣るという行為は面白いと思います. でも,釣れたのはいいが,針から魚を外すのが大変なのですね. あの,釣られた魚が 「てめーコノヤロウ!サカナ釣ってそんなに楽しいかい?え?え?」 と言わんばかりにバタバタ暴れるのが大変恐ろしい. 

ということはそのおじさんには話さなかったのだけれども,続けておじさんがこんなことを言った. 「カイルアの方に行くと,黄色のバスが釣れるところがあるんだよ!」 え? 黄色のバス? とっさにハワイでよく走っている黄色のスクールバスが釣れるシーンを想像してしまう. 何を言っているのだこのおっさんは. と不信に思いつつ,おじさんの発音をよく聞いてみると,バス(bus)ではなく,バス(bass)と言っていることが分かった. ああ,ブラックバス(black bass)のあの「バス」のことですね. "bass"も"bus"も日本語で表記すると「バス」となる.

日本語は難しい.

それはそうと,ブラックバス(black bass)じゃなくて,黄色のバス(yellow bass)なんているんですね. しかし,残念なことに私にはそれがどのくらいすごいことなのか分かりません. だいいちブラックバスも釣ったことのない人にその価値がわかるわけがない. 私にとっては,「バス(bass)」がブラックであろうと黄色であろうと,別にどっちでもいいのだ. というかなんでバス停でこんな話をしているのだ. だいたい女性に「釣り好きか?」とか普通聞きますかね. バス釣りとかしそうに見えるのだろうか. 

おじさんは黄色のバス(yellow bass)の話を延々と続けていた. 一方的に説明されてもですね. 何なんでしょうか.

バス停で黄色のバス(yellow bass)について一人盛り上がっているおじさん.

ますますご隆盛のこととお喜び申し上げます. 

という表現はこういう人にも使えそうだと思った.

日本語は奥が深い.

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コメント

日本語って本当に難しいですよね。

投稿: シーボーグ100 | 2008年5月25日 (日) 21:23

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