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前置詞と副詞の心を知る

jump (          ) the building: ビルから飛び降りる

finish (          ) the homework: 宿題を終える

(       ) 内にはどんな単語が入るでしょうか.

こたえ:

jump off the building

finish up the homework

          *                    *                    *                    *                    *

句動詞(動詞+前置詞/副詞で構成される語群のこと)を使いこなすのは難しい. 上の問題の"jump off"も"finish up"も,聞けば意味は理解できる. しかし,自分で使いこなせるかと言われると疑問である,というのがわたしの現在の英語レベルである. 「ビルから飛び降りる」と言いたいときは,"jump off"ではなく"jump from"と言ってしまいそうだし, 「宿題を終える」は"finish"としかいえないと思う. どちらも間違いではないのだろうが,伝えたい状況をより正確に描写するためには,前置詞や副詞を使いこなすことが必須である.

今日もアメリカ人のクラスメイトがこんな句動詞を使っていた. 「この著者の主張を要約すると...」という話をしていたとき,"sum up the author's claim"と言ったのである. "sum up"→「要約する」. 知ってるんだけど,同じことを自分が言っていたとしたらきっと"summarize"を使っていたやろうなぁと思った. くやしいぞー. 句動詞を使いこなせるようになりたいぞー.

句動詞の習得を難しくしている原因は,前置詞と副詞の部分にあるのではないかと思う. 「飛び降りる」などの「移動」表現は,英語の場合,「動詞+前置詞/副詞」で表すのが一般的だが,日本語の場合は動詞一語である. たとえば,"jump off"は「飛び降りる」だし,他にも,

go through → 通る

go across → 超える

fall off → 落ちる

英語は「動詞+前置詞/副詞」の構造になっているのに対して,日本語は「動詞」だけである. このように,「移動」が「動詞+付随要素」で表される言語(例:英語)のことを Satellite-framed Language (付随要素枠付け言語),「移動」が「動詞」によって表される言語(例:日本語)のことを Verb-framed Language (動詞枠付け言語) という(Talmy, 1985). 日本語母語話者にとって前置詞や副詞の習得が難しいのは,こうした移動表現の言語上の違いが関係しているのではないかということを最近よく考えている. 他にもっと考えるべき重要な問題がたくさんありそうですけれども. オタクちゃん.

もうひとつおもしろい例がある(もういいですか). 木の上に登った子どもに「降りてきなさい」と親が言う場面を想定してみる. 英語だと次のように言える.

"Come right back down out from up in there !" (Slobin, 1984; p.438)

なんやようわかりません. 前置詞と副詞がいっぱい. こんなに一度に使いこなせないです. でも日本語だと,「ここに降りておいで」と動詞一語で済むわけです.

このような分析を通して気がつくことは,英語の前置詞や副詞には重要な意味があるということである. 単なる熟語として丸暗記するだけではなく,前置詞や副詞が何を意味しているのかを考えながら学ぶことで,句動詞の習得を促進することができるかもしれない.

というプロジェクトに取り組んでいる. 日本にいる先輩先生に協力してもらえることになり,日本の大学生からデータを取らせてもらえることになった. 日本の大学生は,受験勉強でかなりの量の句動詞を学んできているはずだが,いわゆる受験英語ではない句動詞,たとえば上の二つの問題(jump offとfinish up)を正しく答えることができるのだろうか. 彼らはoffやupなどの副詞の意味をどの程度認識できているのだろうか. 自分がちゃんと認識できていない人なので,自分とは異なるバックグラウンドのサンプルで実験をしてみたいのだ. 

いわゆる「研究のための研究」じゃなく,最終的に研究結果を授業に還元できるような研究だと,やる気がわいてくる. 

という話をしたらアメリカ人のクラスメイトが"keep up the good work !"と言ってくれた."keep up the good work"→「その調子で頑張って」. 自分なら"good luck with your work"というベタな表現しか言えんなぁと思った. これからは"keep up"だ.

前置詞と副詞の心を知らなくては.

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コメント

Come right back down out from up in there!
って、prepとadvのcavalcadeですね(笑)。その上にいるところから早くおりてきなさい!って、おこられて言われている気がしちゃいます。書いてあるより、話されている時の方が、これは分かりやすそうですね、たぶん、downとoutのところで切れる感じで、outを強調する感じで。

句動詞は、動作を表す以外の時、non-academicの時の方に使う頻度が多そうですよね。go through、体験するとか検討するだったらundergo、experienceとexamineをつかうだろうし、go overも、scrutinizeとかreviewとかだったり。けど、物理的な動作だと、synonyms、なかなかおもいつかないです。
けど、take part inとかだと、participateとかに言い換えられるなぁ。。。

wipe ( ) the table:机を拭く
とかも、難しいですよね、きっと。

投稿: masaki | 2008年4月 7日 (月) 22:50

masakiさん,

ありがとうございます.

机を拭くだと,wipe off the tableになるのでしょうか.表面をサッと拭く感じですよね.

後ろが,たとえば,"ink"とか"stain"とかだと,wipe out になるのでしょうね.中から汚れをえぐりとる感じ.

おもしろいですね.

投稿: satchy | 2008年4月10日 (木) 04:18

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