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trajectory

Nov2_007_2 統計の授業にゲスト・スピーカーとしてカリフォルニア大学のDouglas Mitchell教授が来て下さる.

この本の著者. 他にも教育政策,研究方法に関する著書多数.

今日は,主に,カリフォルニア州の教員養成プログラムについてのお話.

その他,研究方法論からepistemologyなど哲学にいたるまで幅広くためになるお話を聞かせていただく.

今年の夏,34年間勤めたカリフォルニア大学を退職されたとのこと.

言葉のひとつひとつに34年間の歴史の重みを感じる素晴らしいお話を聞くことができた.

量的研究と質的研究を"technical accuracy"と"moral superiority"というメタファーを使って比較,説明してくださったのがおもしろかった.

どちらの方法論にもadvantage, disadvantageがあることを知っておくこと,つまり,どちらか一方しか知らないというのではなく,どちらも知っておくことが大切だというお話だった.

「なぜペンタゴン(アメリカ国防総省)はタリバンに攻撃されたのか?それは,ペンタゴンはtechnical accuracyを重視する組織.それに対して,タリバンはmoral superiorityを重視する組織だからだ.」

単独ツールの結果から得られるものだけが絶対ではないという例で,なるほどと思った.

他にもなるほどと思えるおもしろいお話をたくさん聞かせていただいた.

中でも"trajectory"(「軌道」とか「曲線」という意味)に関するお話が心に残った.

人間が他の動物と違うところは"trajectory"を描けるということ. つまり,

"being able to link the past to the present, and to link the present to the future."

軌道を描くように,過去を現在に,現在を未来へと結び付けていくことができること.

曲線を描くように,その時その瞬間に得たものを着実に次につなげていくことができること.

これまであまり意識したことがなかったけれど,"trajectory"というのはとても奥の深い美しい言葉なのだということに気がついた.

お話を聞きながら,先生は34年間の研究生活を通してどんな"trajectory"を描いてこられたのだろうとか思ったりした.

34年.

自分が生まれてから今日に至るまでと同じくらいの長さ. その間ひとつのことをずっと追究してこられたということがとてもすごいことに思えた. 

そして,次の世代へ34年間積み上げてきた知識を伝授しようと,こうやってはるばるハワイに来てくださった.

そして,そのお話に感銘を受けた日本人がここにいる. 

trajectoryは,人から人へのつながりも意味するのだと思った.

明日にはカリフォルニアに戻られる先生. たぶんもう二度と会うことはないと思うと,「一期一会」のことばが身に沁みた. 

人生は短いと思っていたけれど,先生の「34年」という言葉で,自分が生まれて今日までの長さをふりかえった. そして,34年という時間はとても長いことに気づいた. あと34年後には自分はどんな成果を出しているのだろう.

生きるということはtrajectoryを描いていくことなのだと思った.

どんなtrajectoryを描いていくかは自分次第だと思うと,生きるということはつまり自分で自分をコントロールし,「自己プロデュース」していくことなのだと思った.

よい話が聞けた.

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コメント

>どんなtrajectoryを描いていくかは自分次第だと思うと,生きるということはつまり自分で自分をコントロールし,「自己プロデュース」していくことなのだと思った.

本当にそう思います。アニメ映画のIron Giantで、主人公の少年がロボットに「自分のことは自分で決めろ。なりたい自分になるんだ」と訴えていたのを見て思わず涙したことを思い出しました。

「なりたい自分」になるために、頑張りたいものですね。ああ、また見たくなってきた。

投稿: ねこたん | 2007年11月10日 (土) 14:48

ねこたんさん,こんにちは.お元気ですか.

アニメの中のセリフに心を動かされることってありますよね.

わたしも「なりたい自分」になりたいです.

ありがとうございました.

投稿: satchy | 2007年11月11日 (日) 17:23

このお話、心にしみました。
人は関係性の中で生きていくっていう
ことだなあ、ほんとに。

私の留学中の子ども達も、孤独感にさいなまれる日があるようです。
しかも自分で強く希望して行ってるわけでもない。
可愛い子には旅をさせよ、なんて簡単に言ってたけど
ちょっと遠方まで行かせすぎたのかもしれない。。。

投稿: せつこ | 2007年11月12日 (月) 10:31

せつこさん,こんにちは.

今回はほんとによいお話が聞けました.ハワイに来てよかったと思いました.

おふたりもこれからの人生に影響を与えるようなよい出会いをたくさんしていると思いますよ.

留学は若いうちにしたほうがいいと思います.

年末はおふたりとも帰国されるのかな.楽しみですね.

投稿: satchy | 2007年11月13日 (火) 03:52

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