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"Literacy Autobiography"について語らせていただく

ライティングの活動のひとつに "Literacy Autobiography"というものがある.

自分のリテラシー(読み書きの能力)がどのようにして育ってきたのかを内省する活動である.たとえば,「これまでを振り返って,どのような活動が自分の書く力につながったと思うか」,「書くことについて考え方が変わるきっかけとなる出来事はあったか」,「どの先生のどんな授業が自分の書く力に最も影響を与えたか」...などが焦点となる.

今回,Theory of Teaching Compositionの授業で,このLiteracy Autobiographyを書くことになった.そして,これが大変意味のある活動であることを知った.ライターとしての自分を知り,今自分がどこにいるのかを位置づけ,今後どこに向かうべきかを自分の中で明確にすることができた.でも,何より意味があると思ったのは,過去に取り組んできた活動をこうして書いてにしてみることで,「すべてが現在につながっていて,すべてが無駄ではなかったのだ」と認識できたことだ.

わたしの場合,なぜ書けるようになったのかというと,英語アカデミックライティングのトレーニングによるところが大きい.最初のきっかけは,海外の大学院に留学することを目指して1998年頃から取り組み始めたTOEFLエッセイのトレーニングである.市販のテキストを使ったり,大阪のサイマル・アカデミーに通ったりして,英語ライティングの基本ルールを学んだ.仕事帰りに友達とファミレスに行って30分でどれだけ書けるか競争したりした.具体的には,JR神戸駅近くの「フレンドリー」に毎週金曜19時に集合し2-3時間練習をした.ドリンクバーだけを注文して長時間居座る嫌な客だったと思う.(高校生じゃあるまいし)

その後,TOEFLで高得点が取れるようになり,2002年春にオーストラリア留学が実現した.モナシュ大学というところで勉強したのだけれども,ここでの2年間は,ほぼ毎日何かを書いていたような気がする.指導教授のヘレン・マリオット先生は大変厳しい人だった.出来がよいときは褒めてくれるが,ダメなときはできるようになるまで徹底的にしごいてくれる人だった.(ちょっとこわいときもあったけど) でもそのおかげで,MA論文の一部をJournal of Asian Pacific Communicationというジャーナルに出版することができた.

そして,2004年冬に日本に帰国し,東京の大学に就職.ここで,ライティングセンターという場所で仕事をさせてもらえたことで,わたしの「書く力」はさらに磨きがかかったような気がする.学生さんを指導しながら,自分が学ばせてもらったように思う.そして,もう一つ,日本に帰って気がついたことは,英語アカデミックライティングで学んだことが,日本語で書くときにも役立っているということである.L2⇒L1のトランスファーである.日本に帰ってからは,英語でも日本語でも書くことがとても楽しいと思えるようになった.

1853595217 で,2006年夏に,さらにステップアップを目指してハワイ大学にやってきたわけですけれども,今所属しているEnglish Departmentは,アカデミック・ライティングだけでなく,クリエイティブ・ライティングのスキルも必要とされるところなので,また新しい問題に直面しています.しかし,どんなジャンルのものでもサラサラと書けるようになりたい..という野心が芽生え始めている今日この頃.

Ryuko Kubota先生が左の本の中で書かれていたフレーズはまさしくそのとおりだと思いました.

I feel that learning to read and write in English will be a life-long project. (Kubota, 2001: p.107).

"a life-long project"というのはとてもいい言葉だと思いました.「学ぶ」ということは,生涯を通じて行われる行為なのだと思います.

autobiographyはリテラシーに限らず,他の分野でも応用ができるのではないかなと思いました.「なぜ自分はこの専門分野を選ぶのか」「なぜその分野が自分にとって重要なのか」をしばし立ち止まって考える機会を学生に与えることは,とても大事なことのような気がします.ただぼんやり考えているだけではだめで,実際に書いてみることで,「過去」の経験が「今」にどうつながってきたのかが明確になるし,それは「今」を「未来」にどうつなげるかを考えるよいきっかけになると思うのです.

31808_110 Young, M. (2004). Minor Re/Visions: Asian American Literacy Narratives as a Rheroric of Citizenship. Sourthern Illinois University Press.

literacy autobiographyの意義について,自分の教えた学生の例を挙げて解説しています.この本はおもしろかった.

上記のKubota先生の論文が掲載されているのは↓

Belcher, D., & Connor, U. (2001). Reflections on Multiliterate Lives. Multilingual Matters.

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コメント

ときには休憩して下さいね!

投稿: sagiriko | 2006年11月 3日 (金) 00:21

【sagirikoさん】
ありがとうー!

sagirikoさんがここにいてくれたらいいのになーと思うことがよくあります.たとえば,今日のカエル傘などを見たら一緒に大笑いできたのになーと思ったり.

帽子をかぶった頭が魚の顔に見えたおじさんのことを思い出しました.カーネギー行きのトラムの中で.覚えてるー?

投稿: satchy | 2006年11月 3日 (金) 16:34

覚えています~。最近、Melbourne(中華街)といえばElvisとゴリラのイメージばかり思い出していて、すっかり忘れていました!

ブログを読ませていただいていますが、最近お元気そうで安心しました。さすがさっちーさん!

陰ながら応援しています!

最近コーラス部に入ったさぎりこより。

投稿: sagiriko | 2006年11月 5日 (日) 23:24

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