苦しみの原因について考えてみる
何がこんなに自分を苦しめているのか考えてみた.
それはたぶん,ハワイ大学のEnglish Departmentでは,L2としてのEnglishには全く関心が払われていないということなのだと思う. そのことによる疎外感と孤独感,そして本当にここで博論を書き上げることができるのだろうかという不安である.
わたしがやろうとしていることは,L1 writingとL2 writingの両方に関連している. 具体的には,English 100という「書く力」を伸ばすことに特化した授業が学生のリテラシーの向上にどのような影響を及ぼすのかを縦断的に調査したいと考えている.
応募書類のStatement of Purposeにもこのようなことを書いたし,教授の中にもL1とL2の連携が必要だといってわたしの研究テーマに興味をもってくれた人がいた. だからこそEnglish Departmentで学ぶことを決めたのだけれども,実際にコースワークを始めてみると,EnglishがL2である留学生はわたし一人で,他は全員アメリカ人. 彼らはL2 writingにはまるで興味がないようだ. クラスメイトと自分の研究について意見交換ができない環境というのは,とてもつらいものがある.
アメリカの大学院では,博論を始める前に,Area Examsを3科目受けなければならない. ドクターの学生はこの試験のために約半年かけて準備をする. この3科目は,自分の専門に合わせて選ぶことができるのだけれども,わたしの場合,L2 writingが関連していることもあってEnglish Departmentに所属していると科目の選択が難しくなりそうな気がしてきた.
元上司の先生に相談したら,「転部を考えたほうがよいのではないか」と言われた. この先生もアメリカでPh.Dを取られた方で事情をよく理解してくれた. ハワイ大学には,Department of Second Language Studies (SLS) という学部があって,そちらのほうが私の専門性に合致するのではないかと助言をいただいた. 実は,今学期,SLSで1科目受講しているのだけれども,自分でもこちらの学部の方が自分の専門性を磨ける環境にあるのではないかという気がしていた.
ただ,わたしをさらに苦しめているのは,「転部などということを考えるのは,ただ,困難から逃げているだけではないのか」という思いである. 「そんなふうに自分を甘やかしていいのか」という思いが決断を引き止めている.
転部をした場合,コースを始められるのは来年の9月からになるので,この一年は何とかEnglish Departmentでやり抜くつもりでいるのだけれど,何だかやりきれない気持ちになっている.
わたしはどうすればいいのでしょうか.
この飛行機は日本に向かっているのかなーと思った.
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コメント
来年9月まで待たなくとも、SLSは春学期からも入学を受け付けていますよ。ただ、締め切りは迫っていますが。アダムはEnglish DeptでL2Writingに取り組むつもりなので、お互いに良い話相手になるかもしれませんね。Eng Deptはライティングワークショップを開いているだけに、
L2 Writingをやる人が学部に必要なのではないでしょうか?アダムはどちらかというと、L2に目があまり入っていないEng Deptを変えるとか豪語してますけど(笑)。逆に、専門でL2についてやっている先生がいないけれども、Sachyさんの研究に興味あるから取ったというのであれば、デパートメントとしてもこれからその必要性があると感じているのではないですか?SLSの授業も自由に沢山とれますから、Eng Deptに新風を入れると考えるのもいいかもしれませんね。
投稿: Yuki | 2006年9月14日 (木) 13:53
なんかすごいですね ^^; ↑
さくっと消しちゃいましょう
「ただ,わたしをさらに苦しめているのは,「転部などということを考えるのは,ただ,困難から逃げているだけではないのか」という思いである. 「そんなふうに自分を甘やかしていいのか」という思いが決断を引き止めている.」
英語教育学の難しいことは私にはわからないのですが、決してサッチーさんの選択は甘えではないと思います。逆に「適切じゃない道を選んでしまったときに、勇気を持って方向転換することの方が大切。そしてこれまでやってきたことを全否定するのではなく、その中から何かを学び取り、次にいかす事」と前先輩に言われた言葉を送りたいと思います。
もし転部されるとしたら、そのままL2の学部にいっていたときよりも、L1の下地があるのですからとても視野が広がるのではないかな、と思いました。そちら方面の人脈もできるわけですし。小説家の方などね。^^
「クラスメイトと自分の研究について意見交換ができない環境というのは,とてもつらいものがある.」
この気持ちはよくわかります。研究ってやっぱり理解して興味を持ってくれる人がいないと続けるのはつらいですよね。
とにかく、もともとスレンダーなサッチーさんがさらにスレンダーになってしまったと聞いてとても心配です。野菜などといわず、お肉、魚など、良質のたんぱく質も召し上がって力をつけてください。まぐろとアボガドのわさびマヨネーズあえとか美味しいですよ。そちらはまぐろのお刺身が安いでしょう。日本より応援しております。
(明日日通が来るのに半分しか荷造りが終わっていないのりーたより)
投稿: のりーた | 2006年9月14日 (木) 14:02
学際的なトピックを専門にすると、こういうジレンマを避けるのは難しいですよね。コンポジションのプログラムではL2を理解してくれる仲間が少なく、L2のプログラムではライティングを理解している人がまだまだ少ない。
これはL2ライティングを専門にする者の宿命です。
どちらが正しいとか、途中で軌道修正するのが逃げだなんてことはないと思いますよ。自分が将来やりたいことをしっかり見つめて、それにをやり遂げるためにいちばん必要なものを選んでゆければいいですね。
投稿: ポール | 2006年9月14日 (木) 15:29
【Yukiさん】
アドバイスをありがとうございます.
アダムさんがそのようなことをおっしゃっていると聞いてとても励まされました.アダムさんならEnglish Departmentに新風を巻き起こすことができると思います.今のわたしにはそのような力はないと思うし,今は何だか力がわいてこないのです.
トランスファーといっても,それは結局,application processをやりなおすということなので,SLSに入れてもらえるかどうかもわからないのですけどね.とてもcompetitiveなプログラムなので.
【のりーたさん】
いつもありがとう.
いつも気持ちを共有してくれて嬉しく思ってます.
おっしゃるとおり,今の環境で学べたことはまったく無駄にはならないと考えています.小説家の友達もできたし,L1 compositionがやや異なるアプローチをする学問であることも知ることができました.
まずは船便で第一弾の荷物を送られるのかな.つかれてないですか.荷造りはもうこりごり...と思っているsatchyでした.
【ポール先生】
ご助言をありがとうございます.
先生のようなL2 writingの大御所の方に気持ちをわかっていただけて,感動で言葉がありません.
そうですね,将来やりたいことを実現させるために何が必要なのかをしっかり考えてそれを選択していけばいいのですよね.
準備を始めようと思います.
投稿: satchy | 2006年9月15日 (金) 07:50