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Labour Dayに

アメリカでは,毎年9月の第一月曜日が"Labour Day"で国民の祝日です. 必ず月曜日が休みになるので3連休が約束されています. もともと,労働組合の「夏の最後を祝うお祭り」から来ているらしく,多くのアメリカ人が最後のサマー・バケーションを楽しみます.

といっても,ここハワイは年中夏なのでありますが...

それに,ドクターの学生には3連休も何も関係ないのであります. 日々,膨大な量の課題に追われ,ムチ打たれ限界以上のスピードを出すことを強いられる競走馬のような気分になっております.まさに,whipped and tortured, whipped and tortured...という感じ.

騎手が競走馬にいう.「走れ!走るのじゃー! 進め!進むのじゃー!」

教授が私にいう.「読め! 読むのじゃー! 書け!書くのじゃー!」

...

しかし,このような機会を与えてもらえることをありがたいと思わなければいけない. これまでは,自分が読みたいと思うものとか,自分の調査対象の範囲のものしか読んでこなかったから,それ以上に視野を広げることは難しかったように思う. 今は,与えられたものを読み,それについて書き,授業では教授やクラスメイトとディスカッションをする機会が得られる. このような活動を通して,視野が広がるだけでなく,思考を深めることができるのだ.

などとカッコいいことを書いてみたものの,satchyは苦しんでいます... 授業で使うテキストが難しい. 内容がイマイチよく理解できない. Composition & Rhetoricという分野は,もともとは「アメリカ人の教師がアメリカ人の学生のリテラシーを高めるためにどのような指導をすればいいか」を考えるL1 contextで発展してきた学問なので,アメリカに精通していないsatchyにはよく分からないことがたくさんあるのです.

改めて,国際舞台の場では,英語力よりも,「伝えるべき内容」を持っているかどうかが大事であることを痛感する. 今は,テキストを理解するのに精一杯で,それをcritical analysisするところまではとてもたどりつけない. もちろん,これは,アメリカ人の学生にとっても簡単なことではないはずで,クラスメイトも苦しんでいるのだろうけれど. 

「ちょっとこのままではまずい」と思って,小説家のトムに助けを求めた. トムは自分も日本への留学経験があるから,satchyの気持ちをよく理解してくれている(と思う). そして,Labour Dayの祝日を割いてsatchyの勉強に付き合ってくれた. 授業でついていけなかったところを説明してくれて,たいへんありがたかった. でも何より安心したのは,「この本は難しすぎてボクにもよくわからないし,他の学生も絶対にわかっていない」という一言だった. 

アメリカ人の学生というのは,いつも堂々としていてconfidentで,授業でもよくしゃべる(先生をさえぎってでも). その勢いに圧倒されてしまうことが多いのだけれども,実はちゃんと理解できていないこともあるんだろうなーと思ったりする. 

Labour Dayに小説家トムの執筆活動を妨害してしまったのですけれども,お返しに,すてきな奥様と3週間前に生まれたばかりの娘さんのノロケ話をたっぷり聞いてあげたので,彼もよい休日を過ごせたのではないかと. 今はまだ実家のフィラデルフィアにいるのだけれども,この10月にハワイにやってくるという. 

夫婦とか家族っていいなと思う. ハワイに来てその思いはますます強くなった. 家に帰ったとき,そこに誰かがいてくれることは,何とすばらしいことだろう. パートナーには,泣き言をいってもいいのだし,「そんなにがんばらなくてもいーんじゃない?」とか言って,手を握ってもらえたり,抱きしめてもらうこともできるのだ. そのような形体の人間関係が築けたとしたら,人生は何と豊かになることだろう. 

アメリカの大学院でPh.Dを取得するには4-5年かかると言われている.そして,一番早くPh.Dを取れる人は,spouse(配偶者)がいる学生だと聞いた. その意味するところが今とてもよく分かる. 

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コメント

Satchyさん

ご無沙汰しています。やってますね!

SSNは取れないし、学校ではなんとなく寂しいし、そしてLabor dayのすごし方、まったく同じです・・・。

reading assignmentの量に圧倒されそうです。そして何より、ディスカッション主体の授業になかなかついていけず苦労しています。どうしても無口な人になってしまいがち。ふと、俺は30過ぎてこんなところで何をやっているんだろう・・・などと考えてしまいました。今日もそんなクラスを終え落ち込んでいたときにふと手帳に書いてあった今日の一言:

The worst walls are never the ones you find in your way.
The worst walls are the ones you put there -you build yourself. Those are the high ones, the thick one, the ones with no doors in.
- Ursula K. LeGuin

自分で作る壁が自分でも乗り越えられなくならないうちに手を打たなければなりませんね。

そして家族の支えは確かに力があります。
ろくに準備もせずに地元の小学校に投げ込まれた長男がカフェテリアでのランチを楽しみに毎日通学している姿に励まされているところです。はじめは泣きながらの通学でしたが、必要に迫られているからでしょう、1週間過ぎて英語を覚えたいという意欲が高まってきているようです。ESOLの先生はとても経験豊かな方で、「おうちでは英語を無理に押し付けるのではなく言語にかかわらず考える力をつけるような教育をしてあげてください。」とアドバイスを受けました。ごもっとも。どうしても「せっかくアメリカにいるのだから・・・」と英語を押し付けてしまいがちになっていましたが私も子供も言葉の前にしっかり考える力が大切だと教えられました。(もっとも渡米前に準備してくればこんなに苦労させなくとも済んだのかな?と反省していますが。)

自分が好きで選んだ道だったことを思い出して、そして「嫌になったらいつでも日本に帰れるしな・・・」と逃げ道も確認しながら何とかやっているところです。

長くなってしまってすみません。どうぞお体に気をつけて。

投稿: ryok | 2006年9月 7日 (木) 10:05

【ryokさん】
お元気されてますか.

コメント,とてもうれしかったです.

同じような状況でがんばっておられるryokさんのお話を聞いて元気が出ました.

これまでの人生で自分ではさまざまな困難を乗り越えてきたつもりでいたけれど,そのようなものは今の困難に比べると,困難とはいえないし,壁を乗り越えたことにもならなかったのだ,と改めて認識しました.

今ここで壁を乗り越えて本当に学位をとることができたら,その時本当に生まれて初めて自分をほめてやることができるような気がしています.

またryokさんのブログにもおじゃまさせていただきますね.ryokさんもお体に気をつけて.

お子様も海外生活に順応しつつあるようでよかったですね.子どもの適応能力には驚かされます.

投稿: satchy | 2006年9月 9日 (土) 03:00

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