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「死にそう」という言葉

6月も中旬にさしかかり、大学では学生たちがmid-term paperに追われる時期となりました。satchyの学部は、ペーパーを英語で書かなくてはいけないので、学生さんたちは、内容を膨らませることに加えて外国語で書くという二重のハンデを背負うことになり、かなり大変そうです。

で、最近、ペーパーの締め切りに追われる学生さんたちが、頻繁に発する言葉を発見したんですよ。それは、「死にそう」ってやつです。

「3000wordsのペーパーが二つもあって、死にそうです~。」 「締め切りが明日だってのに、まだ何も書けてない!もう死にそうです~。」 てな感じ。または、ペーパーを出した後、「昨日の夜はペーパー仕上げるのに必死やったで。ほんまに死んでたワ。(←関西弁バージョン)」 というように過去形で使われることもあります(笑)。

ほんとに多くの学生さんが口にするので面白いなーって思っていたところ、今日、自分も何気なく使っていることに気がつきました。今日、実は英検1級を受けてきたんだけど(←certificateとして必要となったので)、2時間半にわたる長時間の試験が終わった後、「もうめっちゃ疲れた。もう死にそうや~。」ってひとりごと言ってました(笑)。

いやいや、改めて考えてみると、「死にそう」って便利な言葉なんですね。上の例以外にも、例えば、「お腹がすいて、死にそう~」とか、「失恋して、悲しくてつらくてもう死にそう~」とか、いろんなシチュエーションで、「死にそう」が使われてるんですね。「死にそう」って言っても、ほんとに、死ぬわけじゃないんだけど、ついつい大げさに言ってしまうのは、人間には、並の言葉では足らず、極端に大げさに言いたい、という欲求が生まれつきあるからかもしれないですね。

この「死にそう」のような表現法を、レトリックの分野では、「ハイパーバリー(誇張法)」と呼びます。レトリックの中で、皆さんになじみがあるのは、「メタファー(隠喩)」、「トートロジー(同語反復)」、「ユーフェミズム(婉曲法)」、、、といったところでしょうか。「ハイパーバリー(誇張法)」も、こうした様々なレトリックの一部分として位置づけられています。

何かに腹が立ったとき、「チョームカつくんだけど!」って言ってみたり(←女子高生がよく使ってる)、ちょっと変わっている人を、「あの人って変人」って言ってみたり(←satchyも職場でよく言ってる)、好きな人のことを、「めっちゃ大好き!すごい好き!」って言ってみたり(←そんなトキメキがほしい今日この頃)、、、これらは全て、「ハイパーバリー(誇張法)」なんですね。

こんなふうに考えてみると、誇張法って、日常を少しでもおもしろく見せかけようとする私たちの何気ない努力のあらわれの一つ、つまり、日常の単調に対する一つの対処法、とも言えるかもしれないですね。学生たちも、「死にそうやー」って言いながら、追い詰められている自分(?)を奮起させているのでしょう。

すんません、ちょっと強引にまとめてみました(笑)。

060611_2242 『認識のレトリック』(瀬戸賢一著、海鳴社、1997) 「死にそう」を始めとする様々なレトリックについて解説されています。普段何気なく使っている日本語表現を改めて見つめ直すよいきっかけになると思います!

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